米株式市場、大幅下落 関税を巡る対立で景気減速懸念広がる
(VOVWORLD) - ダウ工業株平均は前日比で2231ドル(5.5%)下落し、S&P500指数は5.97%安、ナスダック総合指数は5.82%の下落となりました。
アメリカ・ニューヨーク証券取引所のトレーダー(写真:AFP/TTXVN) |
アメリカ株式市場は4日、中国がトランプ大統領による関税措置に対する報復策を打ち出したことを受けて大きく下落しました。市場では、関税を巡る応酬が世界的な貿易戦争へと発展する懸念が広がっています。
ダウ工業株平均は前日比で2231ドル(5.5%)下落し、S&P500指数は5.97%安、ナスダック総合指数は5.82%の下落となりました。
ナスダック指数は昨年12月の過去最高値から20%以上下落し、2022年以来の弱気相場に入りました。ダウも過去最高値から10%以上下落し、調整局面入りとなりました。CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏によりますと、ダウが終値ベースで調整局面に入るのは2022年3月7日以来で、2日間の下げ幅としては新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年3月以来の水準となります。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのハワード・シルバーブラット氏によりますと、S&P500はこの2日間で約5兆600億ドル(日本円でおよそ743兆円)相当の時価総額を失ったということです。
投資家の間では、激化する貿易摩擦の影響により、アメリカ経済および世界経済が景気後退に陥るとの懸念が高まっています。JPモルガンのアナリストは3日、「アメリカと世界経済が今年中にリセッション入りする確率はそれぞれ60%に達する」と分析し、「各国が対米報復に踏み切れば、その可能性はさらに高まる」と指摘しました。
実際、中国は4日に報復措置を講じ、さらなるエスカレーションのリスクが高まっています。ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントの株式部門責任者、マット・バーデット氏は「この関税率が最終的なものとして確定した場合、世界の消費と貿易への波及効果を考慮すれば、市場の反応は実はまだ鈍いかもしれない」「一連の関税によって、パンデミック初期以来の不確実性と変動が市場に注入された」と述べました。
一方、トランプ大統領がベトナムのトー・ラム共産党書記長との「非常に生産的な電話会談」を行ったとSNSに投稿したことを受けて、,株式市場は一時、午前中の安値から持ち直す場面も見られました。
しかし最終的には、関税の規模やそれによる経済成長の鈍化懸念が根強く、株価は再び下落に転じました。FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長は4日の講演で、「トランプ関税の影響でインフレが高止まりする可能性がある」と述べ、経済への影響に警戒感を示しました。(CNN.co.jp)